ネコの飼い主さまへ
TO CAT OWNERS
ネコちゃんの調子はいかがですか?
ネコは病気を隠すのが本当に上手です。
検査をして初めて、病気の初期段階にあることが判明することもしばしばありますので、日々、少しでも変わったことが無いか注意深く観察していただくことや、定期的な健康診断、予防対策も大切です。
また、非常に好奇心旺盛で注意深い動物でもありますので、ご家族の前ではゴロゴロかわいいネコちゃんも、病院の空気や他の動物の匂いで緊張し、警戒します。具合が悪くて入院治療が必要な場合でも、慣れない場所や人がいる環境では食事をしなかったり、おしっこを我慢してしまうことがよくあります。そういった入院のメリットよりもデメリットが大きいと判断される場合、ネコちゃんの性格に合わせて飼い主さまと相談し、在宅治療や通院治療を組み合わせる必要もあります。なかなかネコちゃんに病院に慣れてもらうのは難しいですが、普段からご飯や日々の飼育相談などでお越しいただき、「嫌なことをするばかりではないのね、ここは」と思ってもらえると、いざ爪切りや検査、入院といった状況でも緊張がほぐれてくれるかもしれませんので、いつでもお気軽にお立ち寄りください。
ネコちゃんの診察について
診察台が体重計になっているので、ワンちゃんを診察台にのせていただくと、体重測定ができます。問診、身体検査等はここで行い、必要な検査をご提案させていただきます。ワンちゃんの性格によっては、ネッカーを使用することがありますので、ご了承ください。
ネコちゃんの診察料金の目安当院のネコちゃんに
やさしいポイント
Point 1 ネコちゃん(と小動物)専用の待合場所
ネコはイヌの姿や声にストレスを感じやすい動物です。落ち着いた照明の空間で、イヌの匂いや気配がなるべく遠くなるよう工夫しています。
Point 2 ゲージを隠すタオルの貸し出しなど
ネコちゃんが怖がっている様子の場合は、ケージを隠すタオルの貸し出し(ケージをタオルなどで隠してあげると落ち着くことがあります)や、駐車場や車でお待ちいただくことも可能です。
Point 3 ネコちゃん(と小動物)専用の診察室と入院室
診察室と入院室はイヌと分けて設置し、イヌの気配や匂いを感じることなく、なるべくネコちゃんがストレスなく診察を受けてもらえるようにしています。
ネコのワクチン・予防・健康管理について
当院では、ネコの感染症に対する予防ワクチンを推奨しています。
いわゆる猫風邪の原因となるウイルスや、感染すると致死的な病状となるパルボウイルス等を予防することができます。
外に頻繁に出るネコちゃんや、保護したネコちゃんが猫エイズに感染していると、同居ネコがエイズに感染する可能性があります。猫エイズのワクチンもご用意しておりますので、生活スタイルに合わせて接種をご検討ください。
- 接種時期
- 通年
- 接種頻度
- 生まれた年のみ1ヶ月おきに2〜3回、その後は年に1回
(8週目に1回目、12週目に2回目、16週目に3回目)
混合ワクチンは、ネコが感染すると命に関わる重篤な状態になりうる感染症に対して、ワクチンを接種しておくことで防ごうとするものです。
ワクチンには様々な種類がありますが、感染すると重篤な症状を起こすため、すべてのネコに接種する必要があるコアワクチンと、病気の発生地域で感染の危険性がある動物に対して、それを防ぐために接種されるノンコアワクチンとの2つに大きく分けられます。
当院では、3種の接種を行なっており、猫汎白血球減少症ウイルス、猫ヘルペスウイルス1型、猫カリシウイルスの感染予防が可能です。 基本的に、産まれた年のみ、8週目に1回目、12週目に2回目、16週目に3回目を接種します。そして、2年目にもう一度接種を行います。その後のワクチンの投与方法はワクチン接種後にお話させて頂きます。 イヌと同様、産まれてしばらくは母ネコからもらう免疫で守られ、それがある間はワクチンの効果が薄いとされています。母ネコの免疫がなくなるのが生後8週〜16週頃とばらつきがあるため、確実に免疫をつけるために、生後8週目から接種を開始し、16週ごろに最後のワクチンを接種する必要があります。 他には、外に出るネコちゃんには猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)に対するワクチンもございますので、ご相談ください。
種類 | 予防できる感染症 | 3種 |
コアワクチン | 猫汎白血球減少症ウイルス | ● |
猫ヘルペスⅠ型感染症 | ● | |
猫カリシウイルス感染症 | ● | |
ノンコアワクチン | 猫エイズワクチン | ● |
- 接種時期
- 通年
- 接種頻度
- 生まれた年のみ1ヶ月おきに2〜3回、その後は年に1回
(8週目に1回目、12週目に2回目、16週目に3回目)
マダニや消化管寄生虫は、外に出て行くネコちゃんの間で特に問題になりやすいです。これらはネコに寄生して、重篤な病気を引き起こすきっかけになることがあります。また、マダニやネコの寄生虫は、人にも重篤な病気を引き起こすことがわかっており、北海道でも問題になっています。 フィラリアは、イヌで有名な心臓に寄生する寄生虫です。ネコはイヌに比べると感染率は低いのですが、感染すると重篤化しやすいとされています。
当院では、毎月1回、皮膚に塗布するだけで、これら全ての寄生虫に対応した薬を用いて、予防と治療を行なっています。外に行くネコちゃんや、外にいたネコちゃんを保護した場合は、これらの寄生虫に感染するリスクがあります。 予防期間は4月〜10月で、マダニの活動時期に合わせていますが、消化管寄生虫は年間を通して感染のリスクがあるため、ライフスタイルによって年間通しての駆虫も可能です。ぜひご相談ください。
- 接種時期
- 通年
- 接種頻度
- 年齢によって年1〜2回が目安
ネコちゃんは、体に不調があっても言葉で訴えることはできません。そればかりか、体調の不調を隠そうとする習性があり、周囲からは分かりにくく、いよいよ状態が悪くなって病気に気づくということがよくあります。病気は早期に発見し、治療することが非常に重要です。
そこで当院では、7歳までの元気なネコちゃんでは年に1回、7歳を過ぎてからは年2回以上の健康診断を推奨しています。
身体検査、尿検査、血液検査をベースとし、レントゲン検査や超音波検査を組み合わせていくことで病気の早期発見を目指します。健康診断を定期的に受けることで、健康な時の数値を把握することもでき、それにより早めに異常に気付けることにもつながります。
これらの健康診断をうまくご利用いただき、日々の観察を心がけ、変だなと思うことがあれば些細なことでもご相談くださいね。
ご自宅でできる!
ネコちゃんの
健康チェック
- ■ ご飯はしっかり食べていますか?
- ■ 痩せてきた、太ってきた様子はありませんか?
- ■ 昔に比べて水を異常に飲んでいませんか?→Pick up 1
- ■ ジッとしていることが多くなったり、触ると嫌がったりしませんか?
- ■ 口臭はひどかったり、歯茎が白かったりしませんか?
- ■ 脱毛があったり痒がったりしていませんか?
- ■ 咳をしていませんか?
- ■ よく吐いたり下痢をしていませんか?
- ■ おしっこの色や回数に変わりはありませんか?→Pick up 2
- ■ 体にしこりはありませんか?
- ■ 遊ぶ時間が極端に減っていませんか?
- ■ ネコちゃんの口、眼、鼻、耳や体を異常がないか定期的にチェックし、 セルフグルーミングしていますか?
当てはまる項目があったり、気になることがあればぜひご相談ください!
ネコは中高齢(シニア猫)になると、腎臓にダメージが出てくることが多いです。残念ながら、働けなくなった腎臓は元に戻ることないので、早期発見が重要です。
腎臓は体の老廃物を濃縮して、おしっこから排泄するための働きをします。腎臓は2つある臓器で、仮に1つが機能を果たせなくなっても、もう1つが正常であれば生きていくことが可能です。
そのため、腎臓病の初期では全くその徴候は見られません。血液検査で腎臓の評価をすることは可能ですが、血液検査で異常が現れてくるときには、全体の75%が働けなくなっている時とされています。
病気の進行状況によってステージ1〜4に分類されます。血液検査、尿検査、血圧の測定などを組み合わせてステージ分類を行い、その段階によってネコちゃんの状態と進行状況を調べながら、食事療法、点滴、内服を組み合わせていく治療が推奨されます。
病気によっておきる脱水や気持ち悪さを改善してあげることや、進行を緩やかにしてあげることは可能です。全て理想通りの治療ができれば良いのですが、処方食が食べられなかったり、内服が飲めないことはよくあります。その場合は、ネコちゃんの無理のない範囲で、できる限りの治療を飼い主さまと相談しながら行なっていきます。
尿量が増えてきたり、水を飲む量が多い場合は、腎臓病のほかさまざまな病気も考えられますので、できるだけ早くご来院ください。
● 腎臓病の予防のためにできること
腎臓に負担をかけにくくする方法として、十分な水を飲んでもらうことがあります。なかなか水を飲ませるのは難しいですが、好きな食器や飲み方を観察して、いつでも新鮮な水を用意しておいていただくことが有効です。
塩分の取り過ぎも良くないので、おやつなどはほどほどにしてください。
気をつけていても、中高齢になると腎臓に負担がかかってくることが多いです。完全に予防することは難しい病気ですが、日々のチェックと健康診断を定期的に行い、早期発見、早期治療の開始をすることで進行を遅らせることは可能です。
中高齢から開始する腎臓病に配慮したフードもありますので、中高齢のネコちゃんの飼い主さまはご検討ください。
ネコは、膀胱炎や尿道結石といった下部尿路のトラブルを起こすことが多い動物です。
飼い主さまが気づくサインとして、血尿や頻尿、何度もトイレに行くがおしっこが出ないといったものがあります。原因は細菌感染、結石、詮子、腫瘍といったものにより膀胱や尿道が傷つき血尿になる場合と、特発性膀胱炎という原因が特定できないタイプの場合があります。
膀胱炎や結石、詮子があると残尿感が残るため、何度もトイレにいったり血尿が出たりといった状態になります。尿道が詰まって尿が出ない場合は、すぐに対処する必要があります。時間が経ってしますと命に関わる状況になることもあります。
診断のためには、まず尿検査を行う必要があります。細菌感染はないか、結晶は出ていないかを顕微鏡で調べ、必要であれば超音波検査やレントゲン検査を行い、結石の有無や膀胱内の異常がないかを検査します。
治療は原因によって異なりますが、トイレの環境整備、肥満の解消、ストレスのない環境づくりといった生活環境の改善、食事療法、抗生剤が中心となります。おしっこが詰まっている場合、麻酔処置が必要であったり手術が必要となることもあります。
再発しやすい病気であるため、初期治療によって改善した場合でも、すぐに治療をストップせずに一定期間続ける必要があります。
膀胱炎は雄、雌どちらにも多い病気ですが、おしっこが詰まってしまうのは雄猫で多いです。雄の猫ちゃんが血尿していたり、何度もおしっこにいっているような時はすぐにご相談ください。
● おしっこトラブル予防のためにできること
膀胱炎を予防するためには、水をたくさん飲んでもらう、おしっこを我慢せずいつでも行けるように工夫するということが効果的です。
例えば、気に入った水のみの方法に合わせて、いつでもどこでも飲めるように工夫したり、トイレはいつも清潔に保ち、いつでも我慢せずおしっこができる用意をしてあげたり。トイレの数はネコの頭数プラス1個以上が理想と言われています。
ネコちゃんは最初の1年で大人になったあと、1年間で人の約4年分の年をとると言われています。7歳を過ぎた頃からシニア猫です。
老化の現象は外見上にはなかなか表れにくいので、見た目的には大丈夫そうであっても定期的に体調をチェックしてあげる必要があります。中高齢期になると様々な病気が増えてきます。乳腺腫瘍のように触っていて発見できるものもあれば、食欲も元気もあるのに痩せてくるといった一見病気に見えないようなものもあります。何かいつもと違うと感じたら、一度病院を受診していただき、体重測定と触診検査だけでも受けさせてあげてください。
最近では高齢ネコちゃん用の、中高齢でかかりやすい病気に考慮したフードもありますので、いつでもご相談ください。
個体によって差があるので、あくまで目安です。
ネコの 年齢 |
人間の 年齢 |
3ヶ月 | 5歳 |
6ヶ月 | 9歳 |
1歳 | 17歳 |
2歳 | 23歳 |
3歳 | 28歳 |
4歳 | 32歳 |
ネコの 年齢 |
人間の 年齢 |
5歳 | 36歳 |
6歳 | 40歳 |
7歳 | 44歳 |
8歳 | 48歳 |
9歳 | 52歳 |
10歳 | 56歳 |
ネコの 年齢 |
人間の 年齢 |
12歳 | 64歳 |
14歳 | 72歳 |
16歳 | 80歳 |
18歳 | 88歳 |
20歳 | 96歳 |
21歳 | 100歳 |